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日本と外国の時間感覚の違い ~サクラダファミリアと香港返還から~

      2016/12/28

スペインにある有名な世界遺産にサクラダ・ファミリアという教会があります。このサクラダファミリアは日本語で『聖家族』という意味を持つ「聖家族教会」といいます。

聖家族とは具体的に「何処のご家庭ですか」と言われれば、キリストとその両親である母マリア、父ヨセフのご家族のことです。例えばミケランジェロが16世紀に描いたこの絵画は聖家族を描いた代表的な絵画です。

『Tondo Doni (聖家族)』 フィレンツェ・ウフィツィ美術館所蔵

(傍にいるのは洗礼者のヨハネ)

このサクラダファミリアが、西洋において良き家族のモデル像となっているのは言うまでもありません。

さて、このサクラダファミリアは1882年から建設が開始され、設計はアントニ・ガウディが行っております。建設から100年以上も経た現在も建設中であり、さらに驚くべき事にその完成予定日が未定というから何とも気が長い建築物です。

このサクラダファミリアだけでなく、ヨーロッパには数世紀かけて建築する教会がめずらしくありません。例えばヨーロッパではケルンの大聖堂は1248年から建設が始まったのですが、最終的に完成したのが1880年、つまり600年以上も完成もまでに時間がかかっております。

(ライトアップされたケルン大聖堂)

(ステンドグラスも綺麗の一言)

日本では銀閣寺は、銀箔でなく侘び寂びのある素晴らしいねずみ色をしております。一説には足利義政は義満が建設した金閣寺を真似て銀閣をつくったと言われておりますが、金閣寺建設時ほど室町幕府に財政的な余裕がなかった為に銀箔を貼るのを諦めたと言われております。

しかし、こういった西洋の建築感覚であれば、その時々の政権から少しずつ費用を捻出して銀箔を貼り続けていけば100年ぐらいで銀製の銀閣寺が誕生したのではないのかと思います(笑)

島国の日本においては台風や地震などの被害によって多くの建築物が破壊されてしまいます。平家物語ではないですが「春の夜の夢の如し」「栄枯盛衰」といった時間に関する表現は、時だけでなく全て物が短く儚いものであるという認識を表現していると言えるかもしれません。

この様な感覚とは異なり、世界には日本人とは違った時間感覚を持つ国や民族があります。さて、今回はそういった日本とは違った時の流れの感覚をもつ国を紹介したいと思います。それは中国です。

中国は4千年の歴史と自称するだけあり、歴史大国であります。そんな中国は歴史に対して、そして時間に関して非常に長期的な眼を持っております。

(万里の長城、秦から明まで作られた)

1898年、清朝はイギリスに対して、香港の租借時期を99年延長する条約を締結します。この99年という時間軸は事実上の永久租借といって条約です。いわゆる形式的な時間設定といった感じですね。とりあえずの日時設定であったのでイギリスからしてみたら、999年にすればよかったかと思います。

さて、この99年の租借期限ですが、租借から70年を過ぎてくると問題となってきます。99年経過したら中国に返還されるのであれば住民もそれなりの対応をしなければならないため、イギリス側も80年に入り中国との間で交渉に入ります。この交渉ではイギリスは香港の事実上の租借の延長を意図したのですが、中国側は香港が中国領であることを主張し、最終的に香港を返還すると言う形で交渉は終結します。返還交渉でも50年間は政治システムをいじらないことを条件に完全に中国に返還させることを認めさせました。

(鉄の女 サッチャーと小さな巨人 鄧小平)

中国のこの100年越しの返還劇は悠久とした中国の歴史の流れを感じます。中国人の時間に対する感覚が如実に垣間見える好例といえるかと思います。日本が中国であったならば返還交渉において日本はこれほど上手く立ち回れたかはわかりません。領土は日本であることを認めても、香港での統治については引き続き統治権はイギリスに継続させるという結果になる可能性も十分にありえます。

日本は北方領土問題で少なくとも歯舞・色丹においてはソ連側から日本領であることが日ソ共同宣言で確認されております。こういった条文を後生大切にもって、長いスパンで北方領土を解決する必要があってもいいのではと思います。

中国人は日本人の時間の感覚に対して、時折「日本人は数十年といった長期的なスパンで捉えて目標を設計する感覚がない。我々中国人はもっと先のことを見据えている」という評価を下すときがありますが、確かに現在の中国がアメリカを数十年単位で追い越そうと計画している長期的なビジョンを見ると、納得出来る部分があります。

私はこの考え方の違いは国土と風土と気候の違いから来るものだと思います。

 - 日本と外国の歴史感覚、時間感覚の違い