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現実的な大陸国家とお人好しな海洋国家 ~オーストラリアの大陸縦断鉄道から~

      2016/12/28

(オーストラリ大陸横断鉄道 通称「ザ・ガン」)

オーストラリアに大陸を南北に走る鉄道が今世紀に入って完成したようです。人類の技術からすれば、本気でやればすぐにでも完成したと思うのですが、なかなか完成しなかった模様です。原因はわかりませんが、必要性や採算の問題もあったのでしょうか。

さて、この鉄道が完成したことにより、日本などのアジア太平洋向けの輸出品を鉄道を使い、豪州の北側の港から出航することが可能になり、より輸出入が便利になったようです。

列車が開通して初めての運行を記念してテレビ局が同行してドキュメントを製作したのですが、私もその番組をみて「大陸」というものがいかに厳しいかと言うことを実感しました。列車は大陸を縦断するのですが、内陸地は砂漠地帯で時に砂嵐による熱砂が襲います。

(内陸部の砂漠地帯)

また北部のニューギニアに近くなる場所につれて熱帯性の気候と移り変わっていきます。乾燥気候から一転し、木々が生い茂る森を開墾して敷設したレールをみて厳しい環境のなかを列車は走っているのだと実感しました。

(砂漠地帯を抜けると緑がある)

列車は長旅なので時に停車駅に数時間の停車をしますが、その間に水を大規模に補給しておりました。この環境面の厳しさが、鉄道の工事を遅らせた大きな一因でした。水の補給は特に困難らしく、全ての車両にタンクが備わっていてたっぷりと水を搭載できます。この水の確保は、運行上の大きな問題にもなっているようでした。

(オーストラリア大陸を駆けめぐる)

特に私が印象に残ったのは気候でした。「大陸性の気候とはこうも厳しいものか」と思いました。内陸を抜け、沿岸にせまるにつれて逆に亜熱帯の気候に変わって、それはそれで厳しいものでしたが、やはり内陸の乾燥した灼熱の気候は本当に死の世界を感じさせるものでした。また、熱砂の嵐も生きるというものの困難さを思い知らされました。

日本は海洋性国家で気候は温暖であり、国土の多くが森林で覆われいます。水も豊富にとれます。とにかく、生きていくには本当に恵まれた環境なので、こういった国の人々は人間的に本当に穏やかな人々になると思います。まさに環境によって人が作られていく良い例であると思います。海に囲まれることによって外敵の侵入もないことから、歴史的にもとても平和で安心した暮らしを享受してきました。

それとは対照に近隣の国であっても中国のような大陸性の国家は大変です。まず、あの広大な厳しい大地で生きていかねばなりません。内陸の気候は、夏は暑く冬は寒いとても厳しいものですし、乾燥地帯では水の確保が困難です。黄河、長江沿いでようやく生命が確保される理由がわかります。

そして、そういった環境だけならまだしも、秋になれば収穫した米や麦を狙いに北方から遊牧民が乱入してきます。半年かけて育てたい稲をそのまま強奪していくという全くもって酷い話ですが、遊牧民にとっても厳しい冬を乗り越えるための食料として命がけです。中国人が普段からまじめに生活していようが不真面目に遊んでいようがお構いなしに遊牧民は乱入してきます。

こういった常に「生」が約束されていない社会において人々は理想を捨て、現実に即したリアリスティックな物の見方や考え方をするようになります。したがって騙し合いなどは日常茶飯事なります。当然「人がいい」という性格は「お人よし」として嘲笑の対象にしかなりません。目に見えるものを信用した現物主義になり、お金といった即物的なものが至上の価値になり、相手への現実的な信用をえる具体的な手段となります。

テレビで大陸性の気候を見る度に、そこで生活している人々(特にロシア人)の厳しい自然への対応とそれにより変化した気質には強い印象をうけます。それと共に日本人からあまりに離れた価値観や考え方に、相互理解の難しさ(むしろ相互理解の不可か?)を否応なしに実感させられます。近いから・見た目が同じだからこそ親近感が生まれますが、だからこそ、目に見えない点が違っていることには気がつきにくいかもしれません。

 - ◆文明・文化・日本論, オーストラリア大陸縦断鉄道にみる大陸国家の現実主義