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LGBTについて ~日本と欧米を比較する~

投稿日:2025-09-01 更新日:

近年LGBTに関する話題が公の場で盛んに議論されております。そこで最近のニュースを取り扱うこのコーナー、今回は LGBT つまり性的にマイノリティーな立場である人々が日本と欧米で歴史的にどう扱われてきたのかを簡単に説明することで日本と海外におけるLGBTの現状をより客観的に見てみたいと思います。

LGBTといってもTのトランスジェンダーは歴史的に扱うのが難しいのでここでは同性愛と両性愛であるLレズビアン、Gゲイ、Bバイセクシュアルを扱いたいと思います。

同性愛の歴史

ヨーロッパでは歴史的に性に関する倫理は非常に厳しいものでした。例えば日本や中国、トルコでは権力者が正妻以外の妻、つまり側室をもつことは当たり前でした。日本では徳川将軍の大奥、トルコではスルタンのハーレムなどが有名ですがヨーロッパではキリスト教の教義により宗教的に重婚は禁止されておりました。

そんな性的に厳しいキリスト教の倫理観のなかでは当然同性愛など認められる状況ではありませんでした。例えば聖書には「不品行な性的罪だとして同性愛を禁止する」と複数回にわたって明記しているのでよほどの禁止事項なのでしょう。

参考リンク→聖書には同性愛や同性同士の結婚について何と書いてあるの?
https://www.gotquestions.org/Japanese/Japanese-gay-marriage.html

そういった「同性愛、同性婚」を歴史的にタブーとして扱ってきたのが西洋社会でした。

例えば第二次世界大戦でドイツのエニグマ暗号機を解読したチューニングというノーベル賞級の非常に有名な数学者がいましたが、彼は泥棒が入った際にひょんなことから同性愛者であることが警察にバレてしまいます。1952年当時のイギリスでは同性愛は違法でしたのでなんと彼はそのまま警察に逮捕さるという事態に発展します。そしてこの逮捕が原因となってチューニングはその2年後に自殺します。

イギリスから大西洋を挟んで向かい側のアメリカでは現在州によっては同性愛が合法化されており同性同士での同性婚が認められております。そんな一見先進的に感じるアメリカですが一昔前は同性愛に対する扱いはイギリスと大して変わらない状況でした。

ブロークバック・マウンテンという映画の中に1960年代の同性愛を扱ったエピソードがあります。主人公のイニスは子供の頃に父親を含めた村中の男性にリンチにあい殺される男性を目撃します。その男性がリンチされた理由は同性愛者であったからでした。同性愛者は1960年頃では殺されるような罪人であったという話です。

この様におよそ50年ほど前までは西洋社会において同性愛というものは存在自体が許されないものでありました。場所によっては逮捕されたり、また欠陥がある人間として扱われ同性愛者を理由に殺されても誰も問題視しないような環境であったのです。

日本の同性愛の歴史

それでは日本におけるLGBTの扱いは歴史的にどうだったでしょうか。日本では歴史的に性的なタブーというものは基本的にないのではないかと思います。以前英国のBBCの特集で「性の歴史」というドキュメンタリー番組を見た時のことですが、性の開放度や性のタブーがないことでいえば日本はインドや中国を抑えて世界的にぶっちぎりのトップという扱いを受けておりました。

日本では同性愛に関して、これは女性ではなく男性同士の同性愛になりますが「衆道」と呼ばれており、戦国武将で言えば織田信長と森蘭丸の関係などは誰もが知っている有名な話です。

徳川将軍家で言えば三代将軍の家光が衆道にハマり女性を抱かない結果、世継ぎが誕生しないので乳母の春日局が「女性も素晴らしいのよ」と一生懸命女性を抱くように色々な女性をみつくろったエピソードがあるぐらい同性愛が社会的に当たり前の状況でした。(ちなみに犬公方の五代将軍綱吉の母はその時の女性の一人です)

芸術の世界においても西洋では裸婦、つまり女性のヌードを描く行為は破廉恥だとして禁止されておりました。画家は現実の女性のヌードを書くことができません。ですから女性のヌードを描く際は「これはヴィーナスです」と神話や聖書の場面を描くことで裸婦の代わりとしておりました。だからヌードの女性は手に女神の象徴である薔薇を持ってたりします。

その一方で日本では浮世絵の中に「春画」と呼ばれる現在のAVやエロ本に相当する18禁の浮世絵がありました。その中でも特に北斎の「蛸と海女」という作品は女性とタコとの性的な絡みが(つまり獣姦)描かれている作品で、キリスト教社会においては作者のみならずその関係者一同が全員即処刑されるような衝撃的な内容となっております。ちなみに日本人の私としては「え?何が問題なの?」という感覚です。

以上簡単に同性愛に関する欧米と日本の歴史を述べてみました。

同性愛と現代の日本の問題点

このような歴史的な経緯を踏まえてLGBTの現状を見てみると現在欧米では同性婚が認められているのも「欧米では永らく歴史的に同性愛はタブーであり、そういった社会的弱者のLGBTを守るためには法律によって強制しないといけない程度には未だに根強い社会的な差別や偏見がある」と言い換えられるのではないでしょうか

まあこれまで逮捕とか処刑とかしてたのに突然「同性愛は容認どころか公的に結婚もOKです」という急転直下の流れには「流石に手のひら返しが早すぎないか?」と感じたりもします。欧米人はこういった手のひら返しが上手いですよね。見習いたいところです。

日本ではこれまで社会的に抹殺されることなくある程度容認されてきたので逆に同性愛に対する公的な対応も遅れているかと思います。

例えば「日本のLGBTに関する切実な問題は何か」と問われると同性愛者は結婚が出来ないために男女が結婚すると得られる法的な権利を同性愛カップルは保持しておりません。

例えば交通事故にあった際に手術をする承諾は普通の夫婦では問題なく行なえますが同性愛の伴侶にはそういった権利がないです。また遺産に関しても相続権がないので現状は養子縁組などをして遺産を相続するなど同性婚者は非常にトリッキーな形で遺産相続を行えるようにしております。

現在の日本は法治国家です。その一方で婚姻届を出して結婚している普通の夫婦と違いLGBTは現在法律の庇護下にありません。これはあくまで同性愛者がタブーでないけど社会的に公的な立場でもないことを示しています。

ですからなるべく早く法律の庇護下になるように事実婚をしているLGBTカップルの法的な権利を速やかに認めるなどの一連の措置行われるべきだと思います。

そういった同性愛者の法律的な権利を速やかに認める一方で「同性婚」を認めるかどうかは日本と欧米では宗教や文化的な価値観が違いますので、この点に関しては慎重に議論を重ねていくべきだと思います。

日本では同性愛に関する対応は歴史的に欧米とは異なっていましたのでこの点に関しても欧米を追従して真似る必要はなく日本独自の答えを出してもいいのではないでしょうか。

まあ現行の流れから言えば近い将来日本でも同性婚が認められる流れにはなってきてるので「認める認めない」ではないく「いつ認めるか」というのが現実的な焦点になってくるかと思いますが・・・・

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