Historiai

~ヒストリアイ~

兵士と共にあれ ~アルプス越えと黒パン~

投稿日:2015-04-15 更新日:

フランス革命時、フランス軍がアルプスを越えてイタリアに侵攻とした時の話である。ある前線の兵士達の所へ一人、士官用のマントを羽織った士官が視察に来た。その士官はボロきれのマントに騾馬(ラバ=馬とロバの混血)に乗ったなんともみすぼらしい出で立ちであった。

視察の後ちょうど夕飯時の時間となりその士官は兵士たちと一緒に固い黒パンにスープという貧しい食を共にとった。その後疲れたのか「少し休む」と言って毛布一枚を身に纏い焚き火の傍の地面にゴロンと仮眠を取った。2~3時間後に仮眠から目覚めた士官は陣地に戻るために騾馬にまたがろうとした。

その際に一筋の突風が吹いた。そして士官のマントが捲れ上がり中の軍服の階級章が見えた。それを見た兵士達は驚いた。なんとその士官は全軍の最高司令官だったのである。そう、それは若き日のナポレオン・ボナパルトであった。

ナポレオンはコルシカ島の貴族出身である。アルプスの少女ハイジでも登場するが当時のパンには黒パン白パンといった種類があった。黒パンは硬くてまずい、白パンはふんわり柔らかでおいしいのである。

貴族出身のナポレオンは当然白パンを食べれるのであるが子供のころのナポレオンは白パンを家から持ち出しては島を守っている守備兵の黒パンと交換してもらっては食べていたという。母親が「なぜそういうことをするの?」と問いただすと「僕もいずれ兵士になるんだから今のうちから慣れておかないとね」 と言ったそうだ。

ちなみに貴族の子供が兵士になる場合は当たり前のことだが下級兵ではなく白パンが食べれる士官という高い階級になるのである。ナポレオンの返事に対して母親や家族は「ふふふ・・・変わっている子なのね。ボナパルトは」と言ったそうである。

もちろんその後にナポレオンがどうなったかを知っている我々は彼の言っている意味を理解することができるのである。

(アルプスを越えるナポレオン)

通常レタリング




-世界史

Copyright© Historiai , 2024 All Rights Reserved.