火炎放射器は太平洋戦争中に日本軍の兵士にとって天敵となった兵器です。多くの日本兵の命を奪った悪魔の兵器といっても言いと思います。この火炎放射器の恐ろしさを、太平洋戦争最大の激戦地である硫黄島の戦いを例に挙げて説明してみようと思います。
1.木々に隠れる兵士に有効
まず、南の島は島全体が緑の木々に覆われたジャングルです。そんなわけで兵力に劣る日本軍はジャングルの茂みで息を潜め米軍が来るのを待ちわびます。しかし、火炎放射器を使われると森が焼き払われます。その結果、茂みに潜むというゲリラ戦法が使えないため丸裸になった日本兵は狙い打ちです。
太平洋戦争の南の島の戦いの映像を見ると荒野の様な灰色の表土がむき出しのイメージがありますがあれは艦砲射撃や爆撃、そして火炎放射器で焼き払われた為です。本来は緑の木々が生い茂るジャングルです。
(森を焼き払う)
また、茂みに隠れている日本兵を丸焼きにすることができます。機関銃などの銃弾や砲弾では写真の様に面で範囲攻撃することは非常にむずかしいですね。
2.洞窟や陣地に立て篭もる兵士に有効
ジャングルではないですがコンクリートの分厚い陣地に潜み、敵が射程距離まで近づいたら攻撃をする日本兵に対し、米軍は砲撃をして陣地を破壊しようとします。しかし、陣地はコンクリートで分厚く覆われているために効果がありません。また、洞窟に潜んで夜に這い出してゲリラ攻撃を仕掛ける日本兵にも悩まされます。
こういった場合、許されるなら毒ガスが一番効果があるでしょう。入り組んだ洞窟の場合、手榴弾を爆発されても洞窟の入り口でストップしてしまい、深部まで効果がありません。その点、毒ガスなら砲弾が届かない場所まで空気に流れて染みこんでいきます。しかし毒ガスは禁止されてる兵器です。この問題を解決する物として火炎放射器が使われました。
(要塞を攻撃して敵兵をあぶり出す)
火炎放射器は間接攻撃で効果の高さがあります。トーチカや洞窟では銃弾や砲弾、手りゅう弾は入り組んだ内部まで攻撃が届かないと効果はありませんが、火炎放射器は直接当たらなくても問題ありません。トーチカの外側に火炎放射器の攻撃を浴びせれば内部は高温で兵士は焼死しますし、熱を避けた兵士も酸欠または煙にいぶされて窒息死します。これは洞窟に籠る兵士にも同じで内部まで直接炎が当たらなくても兵士は殺されてしまいます。
火炎放射器は直接被害に当たれば焼死、当たらなくてもその熱で死亡したり酸素不足で窒息死になったりと見た目での効果以上の付随効果があったらしいです。
さて、この火炎放射器はどのくらい効果があったのか一例を示しましょう。まず、戦車の砲台の代わりの火炎放射器をつけた戦車が現れました。そして敵の陣地まで近づき、火炎放射器で潜んでいる兵士を攻撃しました。陣地内の兵士は一発で死亡したらしいです。
(火炎放射付き戦車・火炎放射担当の兵士が安全に)
普通、戦車は砲弾を撃つ物です。しかし、コンクリートで戦車対策された陣地には砲弾はあまり効き目がないため、こういった火炎放射器戦車は重宝されたそうです。相手がその場で機関銃で反撃してきても戦車なら安全ですしね。
また、火炎放射器を使う兵士は他の兵士に比べて圧倒的に戦死する確率が高かったそうです。特に狙い打ちされたということはいかに相手にとって驚異的な存在だったかということを証明している事実でしょう。その為火炎放射器を扱う兵士は志願する人が少なかったとか。