Historiai

~ヒストリアイ~

トップに立つ資質と中世の昔話

投稿日:2015-04-15 更新日:

ある中世のアラビアの王国で従軍中に王子が軍師と話していました。

軍師は言います。

「かつて一人の勇敢な王がおりました。その王は5万の兵をひきいて遠征をし、国境の雪山を越えて戦い続けているうちに食料がなくなり兵士達は飢えに苦しんだ。王はそれら兵士の苦しみを見て涙を流し、自分の食事を兵士に分けてやった・・・・・。」

という話をしたのです。その話の後に軍師は、
「殿下、この話をどう思いますか?」
と聞いてきたのである。

その質問に対して王子は、
「立派だと思う。兵士の苦しみを見かねて自分の食事をわけてやるというのは、なかなかできないことだと思う。」
と返事をしたのである。

王子の返事に対して、軍師はこう切り替えします。

「この王は王者たる資格を持たぬ卑怯者です。」

「え!?なぜ・・・・・?」

王子の疑問に対して軍師は言います。

「この王には2つの重大な罪があります。第一の罪は、5万人の兵士に必要な食料を用意せず、兵を飢えさせえたこと。そして第二の罪は、自分ひとりの食事をわずかな人数に分け与え、他の多くの兵士を相変わらず飢えさせたままにしておいたことです。」

「つまり、この王は、第一に怠惰であり、第二に不公平であったのです。しかも、自分の食事をごく少人数の兵士に分け与えることで、自分自身の情けの深さ に陶酔し、多くの兵士を飢えさせた責任をまぬがれようとしたのです。卑怯者であるゆえんです。おわかりいただけましたかな?」

そう若い王子に対して述べたのでした。

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

そしてこれはまた、もう一つの別のお話。。。。。。

ある所に南北に隔てられた二つの大国がありました。お互いにその地形から北国・南国と呼ばれています。

この二つの国は互いに勢力が均衡しており、周辺に大きな影響力を持っていますが二つの国には大きな違いがありました。

南国は好戦的な国王によって治められており好きあらば北国を侵略してやろうと、虎視眈々とその機会を窺っていました。国内に多くの奴隷を徴用して軍備の整備に余念がありません。

反対に、北国は非常に優しい国王によって治められているために、平和的で国内においては奴隷を解放したりしていました。ただ、南国に注意して防備は怠っておりません。

そんな時に、事件が起きました。なんと南国の奴隷が脱走して北国に逃亡して来て国王に対して、南国の奴隷を解放するために攻め込んで助けてくれないか。と願い出てきたのです。

それに対して心優しい王はどのような態度をとったのでしょうか。

王は言います、

「気の毒だが応じるわけにはいかない。確かに彼らの悲惨さは理解できるが、それが原因で南国と戦争になったら我が国の兵士が多く死ぬことになる。その為にも全面的に戦うことは避けねばならぬ。」

ということです。確かにそのとおりです。彼らの南国の奴隷たちを救うことも大切ですが、それ以上にこのことが原因で多くの兵士が死ぬことになることは避けねばなりません。

その後、王は脱走してきた奴隷に対して助けになれない意味合いからも「家と土地」を与えようとしました。

それに対して大臣が言いました。

「陛下それはお甘いです。南国との非戦を決定した以上は事は徹底しなければなりません。逃亡奴隷を苦痛を与えずに殺して首を南国に送り届けます。そうし てこそ南国の信用を得ることができます。もし、しないのであれば南国に対してわが国を侵略する大義名分を与えることになりましょう。」

さらに、

「この事件で奴隷を保護することになれば周辺の国々の奴隷がわが国に逃亡して来る事もありえます。そうなった場合我が国が他国の奴隷制度を揺るがすもの として大義名分を与えてして侵略される恐れもあります。そういった意味でも逃亡奴隷に対して果断な処理をする必要が求められるのです。」

と述べて国王を諭したという。

そういう二つの異国のお話です。

おしまい

通常レタリング




-世界史

Copyright© Historiai , 2024 All Rights Reserved.