1. ルクセンブルク大公国 Grand Duchy of Luxembourg
アンリ大公を元首とする国家。
欧州では王様でなくその臣下である貴族の「公爵」が国家を持つことは歴史的にはよくあることである。多くの小国はこういった大公国や公国であることが多い。
そういった中で大公というだけあって国土は広い。人口は41万ほどである。41万というと杉並区や世田谷区以下の人口。しかし小国としてはヨーロッパで一番大きな国である。
ちなみに貴族の爵位を偉い順にならべると王の下に
公爵 候爵 伯爵 子爵 男爵
となる。公爵は偉い。大公はもっと偉い。男爵はあんまり偉くないのだ。
歴史的に多くの小国は近隣の大国に併合されてしまうのであるが、ルクセンブルグは幸運にも生き残ってきた。ベネルクス三国の一国。
2.モナコ公国 Principality of Monaco
F1グランプリのモナコサーキットでも有名なモナコ公国。公道のレースのためコースが狭く抜きどころがない。
元王妃のグレース・ケリーはハリウッド女優出身で玉の輿。つまりリアル・シンデレラストーリー。グレース・ケリー愛用のエルメスのバックが、かの有名なケリーバック。値段は50万以上、正規店なら3年待ち。
モナコはフランスに囲まれている地中海沿いの国家である。王族に男子の世継ぎが生まれなかった場合、国法によってフランスに併合される。つまり王族の一番の役割は男子を産むこと。
なぜこれほどこの小国が世界的に有名なのだろうか。実はもともとモナコは貧乏国家であったが「カジノ」経営が大成功して一躍巨万の富を稼いだ。つまり金持ち相手の商売はぼろ儲けってことですね。世界中のセレブのバカンス地となり現在の地位を築く。
また、税金も安いために税金対策で籍を置く人も多い。元F1レーサーの鈴木アグリもモナコ籍で節税。
3. リヒテンシュタイン公国 Principality of Liechtenstein
初めて聞いた人もいるかと思う。人口3万人。領土は小豆島と同じ規模という小国。場所はスイスとオーストリアの国境にある。
モナコがフランスの一地方であるようにリヒテンンシュタインはスイスの延長上のような国である。
この国家は太平洋戦争後の極東国際軍事裁判でインドのパル判事が日本がアメリカにハルノートを突き付けられたことに対して
「こんな挑発を受ければ例えモナコでもリヒテンシュタインでも戦争をするだろう」
と言ったことでも有名。つまり、とんでもない小国です。
4.アンドラ公国 Principality of Andorra
人口7万の小国。場所はフランスとスペインの間。ピレネー山脈にある平地が非常に少ない国家である。
こういう国は必ず保護国といったような国、モナコにおけるフランスやリヒテンシュタインにおけるスイスの様に隣国の文化圏にだいたい入るのだがこの国はフランス圏に所属する。
実はこれがやっかいで、スペインとちょっともめている。この2国の大国はそれぞれ互いにアンドラの宗主権を主張してきたからである。しかしフランスが独立するまでアンドラの外交権を保有していた。
日本ではフランス大使館がアンドラの大使館業務を兼ねているので、フランスが事実上の宗主国というか保護国としての役割を果たしている。
5.サンマリノ共和国 Republic of San Marino
イタリア半島の中部に位置する、ヨーロッパの国である。首都は国名と同じくサンマリノ。イタリア共和国内に浮かぶ孤島のような国で、世界で5番目に小さな国。現存する世界最古の共和国である。
F1サンマリノ・グランプリで有名だが、実際にレースが行われているのは麓の町イモラで、イモラはイタリア領である。
この国が独立を維持しイタリアに併合されなかった理由は2つ。1つはイタリアを一つの国家として統一する際に建国を助けたこと。もう1つは辺境の田舎に位置しており独立していても特に問題がないこと。
日本でいえば信州の山奥が独立しているようなものですね。そういったことからイタリアに併合されずに独立を維持している。
6.バチカン市国 State of the City of Vatican
ローマ法王を国家元首とする、わずか人口827人の世界最小の国家。国民は基本的に高位の僧侶、つまり宗教国家であり都市国家であるのだ。
国家として異常な形態であるが、逆にそれほどこのカトリック教会に権力があるともいえる。
カトリック教会とその組織を国家権力に犯されないため自らが国家となり内政干渉を防いでいる。またそれを現実に実行し可能にするほどの権力を保持しているのである。
このバチカンと言う国家は世界最小であるがある意味世界最強の国家とも言える。政治的に影響力があることは一目で分かっていただけると思うが、バチカンは経済的にも実は恐ろしい程の影響力をもっている。
カトリックの人口は10億人以上、これは目に見えない潜在的な国民である。彼ら10億人が1ドルのお布施をするだけで10億ドルもの大金が手に入るのである。死後に全財産を寄付するような敬虔な信者を含めればいったいどれだけの経済力をもっているのだろうか・・・・
いにしえの古典言語「ラテン語」を公用語とする国家でもある。ちなみにバチカン内の銀行のATMではラテン語が選べます。
おまけ シーランド公国 Principality of Sealand
シーランド公国(Principality of Sealand)は、イギリス東岸から10㎞沖合いに浮かぶ世界最小の面積を持つ自称「国家」である。しかしながら、世界中の全ての国は承認しておらず、国際法上は「国家」と呼ぶことはできない。
国土はバスケットボール2つ分。元々は、第二次世界大戦中の1942年に建設されたイギリス沖の北海洋上にあるイギリス軍の海上要塞 Roughs Tower であった。150~300人もの兵員が常時駐留していたが、大戦終了後に要塞は放棄された。
ところが、1967年9月2日に元英国陸軍少佐で海賊放送の運営者だったパティー・ロイ・ベーツが、当時イギリスの領海外に存在したこの要塞に目をつけ「独立宣言」を発表、要塞を「シーランド」と名付け、自ら「ロイ・ベーツ公」と名乗った。
イギリスは強制的に立ち退かせようと裁判に訴えたが、11月25日に出された判決では、シーランドがイギリスの領海外に存在し且つイギリスを含めて周辺諸国が領有を主張していなかったことから、シーランドはモンテビデオ協定の定義する「独立国」として認められた。
冗談のような話であるが最近テレビでもとりあげられている。同じような国にオーストラリアのハット・リバー王国があります。こちらの方が実際に自治州的な扱いを受けていてなんか凄いです。